今回は中国語の翻訳について少しお話ししたいと思います。
中国語を翻訳している時に、必ずぶつかってしまう問題の1つに、「外国語の名前」が挙げられます。
人名だけでなく、企業名、ブランド名、製品名など、英語も日本語も、すべての外国語の名前は、中国語で表記されます。日本のメディアが英語の名前をすべてカタカナに置き換えるのと同じですね。
今回は「中国語に翻訳されている名前」について解説します。

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外国語の名前は2通りの方法で、中国語に翻訳されます
外来語(中国から見て)を中国語に翻訳する際、2通りの方法があります。
- 意味から翻訳する
- 音から翻訳する
の2つの訳し方です。
自動車会社やブランド名、モデル名を例に挙げてみます。
①意味からの翻訳
ブルーバード(日産) | 蓝鸟 | lánniǎo |
サニー(日産) | 阳光 | yángguāng |
エクスプローラー(フォード) | 探险者 | tànxiǎnzhě |
コンパス(ジープ) | 指南者 | zhǐnánzhě |
パリオウィークエンド(フィアット) | 周末风 | zhōumòfēng |
グランドコマンダー(ジープ) | 大指挥官 | dàzhǐhuīguān |
②音からの翻訳
カローラ(トヨタ) | 卡罗拉 | kǎluólá |
カムリ(トヨタ) | 凯美瑞 | kǎiměiruì |
ボルボ | 沃尔沃 | wòěrwò |
キャデラック | 凯迪拉克 | kǎidílákè |
フィアット | 菲亚特 | fēiyàtè |
ルノー | 雷诺 | léinuò |
マツダ | 马自达 | mǎzìdá |
アウディ | 奥迪 | àodí |
シトロエン | 雪铁龙 | xuětiělóng |
文字として読んで(見て)分かりやすいのは①、耳で聞いて分かりやすいのは②といえるでしょう。
外国語の名前の中国語への翻訳方法には例外もあります
上の2通りの他に、たまに例外もあります。例を挙げてみます。
③ ①意味からの翻訳と②音からの翻訳の複合型
インターネット | 因特网 | yīntèwǎng |
・前半の「因特」(yīntè)はインターの音をそのまま表記したもの。後半の「网」(wǎng)はネットワークの意味。①意味からの翻訳と②音からの翻訳の複合訳です。
④ 1つの外国語の単語に2つの訳語が存在
たいていは、1つのオリジナル単語に対して、①意味か②音か、どちらか1つの訳語しかありませんが、たまに2つの訳語が存在する単語もあります。
Eメール | 意味からの翻訳 | 电子邮件 | diànzǐ yóujiàn |
音からの翻訳 | 伊妹儿 | yīmèir |
⑤ ご参考までに新しく出てきた「名前」の中国語訳をまとめてみました
- 意味からの翻訳
ハイブリッド | 混合动力 | Hùnhé dònglì |
フェイスブック | 脸书 | Liǎnshū |
- 音からの翻訳
トランプ大統領 | 特朗普总统 | Tèlǎngpǔ zǒngtǒng |
- その他
ツイッター | 推特 | tuītè |
ツイート | 推文 | tuīwén |
ツイッターは①音から、ツイートは②意味から、の翻訳になってますね。「口可口乐」(kě kǒu kě lè、=コカ・コーラ)に匹敵する名訳だと思います。
日本人の名前はどうやって中国語に翻訳するの?
日本人の名前は、中国語に翻訳する必要はありません。基本的にそのままの漢字を使って、発音だけ中国語読みになります。
わたしの苗字「浅井」は「qiǎnjǐng」となります。
日本でも、中国人の名前の読み方は日本語ふうになりますよね。
たとえば、習近平・国家主席の場合、日本のニュースでは「しゅう・きんぺい」と発音されますが、中国語での発音は「シー・ジンピン」(xí Jìnpíng)です。
電話などで、 私が自分の名前の漢字を中国人に説明する時は、
- 「さんずいの浅に王府井(ワンフージン、北京の繁華街)の井」
と伝えます。
自分の名前の発音は、暗記してしまえばいいので大丈夫ですね。
困るのは、会話に他の人の名前が出てくるときです。
「日本人といえば、私アンシィナイメイフイ(ānshì naìměihuì)のファンなんだよね」
「???」
「彼女の曲、全部歌えるよ」
「???」
「でも、引退しちゃって残念だね」
……ここまでくれば、勘のいいひとなら
- 安室奈美恵!
と思いつくでしょうが、たいていの人は「???」のまま、頭の中が真っ白になります。
【まとめ】外国語の中国語への翻訳方法は2通り。しっかり頭に入れて、暗記に役立てよう
中国語で、外来語を中国語に翻訳する時、
- 意味から翻訳する
- 音から翻訳する
2通りの方法を使用します。
単に単語を丸暗記するのではなく、「これは意味を訳したもの」「これは音を表したもの」とカテゴライズしながら覚えると効率的です。また、知らない単語を目にした時にも、意味を理解しやすくなると思います。
新しい言葉の中国語訳にもアンテナを広げておくと、楽しく勉強ができますよ。
勉強のお供には、ぜひ私が執筆した「いちばんはじめの中国語単語」(東進ブックス)と「いちばんはじめの中国語会話」(同)をご活用ください。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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